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【要注意】電動アシスト自転車で違法になるケース|知っておくべき基準と規制

「スピードがでる電動アシスト自転車は違法?」
「どこまで改造してもいいの?」
「海外製の電動アシスト自転車は日本で使える?」

こうした疑問を持ったことはありませんか?

電動アシスト自転車の普及に伴い、法律の「グレーゾーン」に悩む利用者が増えています。実際、警察の取り締まりも強化され、知らずに違法な自転車に乗っていたためにトラブルになるケースも少なくありません。改造キットが出回っているモデルなどは、使用すれば簡単にパワーアップできますが、それが思わぬ法的リスクを生むこともあるのです。

本記事では、電動アシスト自転車に関する法律の基本から、違法となるケース、安全な利用方法まで、あなたが知っておくべき情報をすべて網羅しています。正しい知識を身につけて、安心して電動アシスト自転車を楽しみましょう。

目次

電動アシスト自転車に関する法律の基本

電動アシスト自転車は便利な乗り物ですが、一般の自転車とは異なる法的規制が存在します。この違いを正しく理解しておかないと、知らず知らずのうちに法律違反を犯してしまう可能性があります。ここでは、電動アシスト自転車に関する法律の基本的な知識を解説します。

電動アシスト自転車の法的定義

電動アシスト自転車は法律上、「人の力を補うため原動機(電動モーター)を用いる自転車」として定義されています。具体的には道路交通法施行規則第1条の3において、以下の条件を満たすものが電動アシスト自転車として認められています。

① まず、ペダルを踏む力に応じて補助動力が出る「比例的な力学的機構」を持つことが必須条件です。これは単にボタンを押すだけでモーターが駆動する電動キックボードなどとは明確に区別されるポイントです。つまり、「踏力比例式」として、ペダルを漕がなければモーターは作動しないという仕組みが法的な要件となっています。

よって、グリップを回す=アクセルや、ボタンを押して走行/加速(ブースト)などは、踏力に比例していないため、いずれも違法となります。

② また、その補助力(アシスト比率)には明確な制限があります。時速10km未満では人力の最大2倍まで、10km以上では徐々に補助力が低下し、時速24kmを超えると補助力がゼロになるという段階的な設計が求められています。

つまり、時速24km時点でモーターアシストがされていなくても、人力の2倍以上のアシスト出力や、速度域毎に決められた出力を超過している自転車の場合も違法となります。

(以下、速度域毎のアシスト出力比率)

これらの基準に合致しない電動二輪車は、「電動アシスト自転車」ではなく、原付バイク(=原動機付自転車)と同じ扱いとなります。

一般自転車との法律上の違い

電動アシスト自転車は、基本的な扱いは一般の自転車と同じですが、いくつかの重要な違いがあります。

法的には、電動アシスト自転車も「軽車両」に分類されるため、自転車と同様に車道の左側を通行したり、自転車専用レーンを利用できたりします。免許も不要で、ヘルメットの着用も努力義務に留まっています(ただし、安全のためにはヘルメット着用が推奨されます)。

しかし、通常の自転車とは異なり、電動アシスト自転車には、製造メーカーまたは輸入事業者が自主的に取得する「型式認定」制度があります。
この認定制度は現時点では任意ですが、認定を受けた車両には「型式認定番号(TSマーク)」の認証マークや、「認定番号シール」を車体に貼付することができます。
任意制度とはいえ、国家公安委員会が法令に適合した車両であることを公的に認定するものであり、製品の安全性を明確に示すため、多くのメーカーや輸入事業者が積極的に取得に取り組んでいます。

これらのマークや番号が付いていない電動アシスト自転車がすべて違法というわけではありませんが、正規の基準を満たしていない可能性があります。
任意制度であることを逆手に取り、公的機関による審査を受けずに違法な製品を合法品であるかのように販売するケースも見られます。こうした事例の中には、過去に不正競争防止法違反で摘発されたものもあります。

また、合法品であると誤認させるような表記がされていたり、海外メーカーが取得した型式認定番号を、別の輸入事業者がOEMブランドとして使い回し、流通させるケースも確認されています。いずれも、使用すること自体が違法とされる場合があるため、十分な注意が必要です。

近年では、通信販売などで販売元の詳細が不明なまま購入するケースも増えており、ユーザー自身が製品の合法性や安全性をしっかり確認することが求められます。
購入前には、製品情報がWEBページ等で明確に記載されているかを確認し、不明な場合は自転車販売店に相談するほか、購入者の口コミや、知人・友人からの情報を参考にするとよいでしょう。

なお、型式認定制度の認定基準には、「容易に改造できない構造であること」や、「品質検査の実施基準」、「アフターサービス体制」なども含まれており、消費者にとっては製品の安全性や信頼性を確保するうえで、安心につながる制度となっています。
特に、違法な改造によってスピードや出力を変更できない構造であることが求められており、公道での安全な利用を前提とした設計が義務付けられています。

道路交通法における位置づけ

道路交通法上、適正な基準を満たした電動アシスト自転車は「普通自転車」として扱われます。これにより、自転車専用道路の通行や自転車専用の交通規制の適用など、一般自転車と同じ権利と義務を持つことになります。

ただし、「普通自転車」として認められるためには、全長190cm以下、全幅60cm以下というサイズの制限を守る必要があります。
近年では、電動アシスト自転車の中にも大型モデルが登場していますが、これらがサイズ制限を超える場合は、アシスト比率などの技術基準を満たしたうえで「駆動補助機付き自転車」として分類され、「普通自転車」には該当しないことになります。

「普通自転車」に該当しない車両は、自転車専用レーンや一方通行の例外通行など、一部の道路上の特例が適用されないため、注意が必要です。
(例:ハンドル幅が600mmを超えるe-MTB〈電動マウンテンバイク〉など)

また、道路交通法には飲酒運転の禁止や二人乗りの制限など、一般自転車と同様の交通ルールが電動アシスト自転車にも適用されます。特に注意すべきは、一般自転車よりも車体が重く、スピードも出やすい電動アシスト自転車では、これらの交通ルール違反がより重大な事故につながる可能性が高いということです。

さらに、電動アシスト自転車は歩道を通行できる場合がありますが、これは歩道通行可の標識がある場合や、車道通行が危険な場合などに限られており、その際も歩行者優先で徐行する義務があります。歩道での暴走行為は、電動アシスト自転車の場合、一般自転車より重大な結果を招きやすく、法的責任も重くなる可能性があります。

以上が電動アシスト自転車に関する法律の基本的な知識です。次の章では、具体的にどのようなケースが違法となるのかを詳しく見ていきましょう。

電動アシスト自転車で違法となるケース

電動アシスト自転車は便利で環境にも優しい乗り物ですが、適切な基準を満たさなかったり、不適切な改造を施したりすると違法となってしまいます。ここでは、電動アシスト自転車が法律違反となる具体的なケースを詳しく解説します。これらを知っておくことで、知らず知らずのうちに法を犯してしまうリスクを回避できます。

無許可の改造による違法化

知らずに違法な電動アシスト自転車を使用してしまうケースもありますが、本来は、購入前に自分が希望するモデルが法令に適合しているかを確認し、慎重に判断する必要があります。
一方で、より悪質なのは、「違法車両であると知りながら使用するケース」や、「故意に違法改造を施すケース」です。

型式認定を取得している自転車の多くは、違法改造が容易にできない構造になっており、改造を行うとセンサーが正常に作動しなくなるなどの安全対策が講じられています。
しかし、型式認定のない車両では、ユーザーが簡単に改造できてしまうものもあり、上限速度の解除やモーター出力の強化が可能な改造キットが市販されている現状もあります。

こうした違法改造によって、もともと合法であったモデルを違法状態にしてしまうケースもあれば、スロットル操作のみで走行できる違法バイクに改造する例も見られます。

これらの改造によって、簡単に法的に「電動アシスト自転車」の定義から外れ、原動機付自転車や小型特殊自動車に分類されてしまう場合があります。

特に注意が必要なのは、ペダルを漕がずにスロットル操作だけで走行できるようにする違法改造です。
このような改造を施した車両は、法的には電動アシスト自転車ではなく「原動機付自転車(原付)」や「小型特殊自動車」に分類されることになります。

原付として公道を走行するためには、ナンバープレートの取得、自賠責保険への加入、運転免許の所持、ヘルメットの着用など、さまざまな法的義務が発生します。
これらの条件を満たさずに、改造した電動アシスト自転車を公道で使用すると、「無免許運転」や「無保険運転」として検挙される可能性があり、最高で懲役1年以下または罰金30万円以下という重い罰則が科される場合があります。

さらに、こうした改造車両は多くの場合、自転車保険の補償対象外となるため、事故を起こした際には高額な賠償金を自己負担するリスクがあります。
安全面・法的責任の両面から見ても、違法改造は絶対に避けるべき行為です。

アシスト比率の超過

電動アシスト自転車の定義において、最も重要な要素の一つがアシスト比率です。法律では、人が踏む力に対するモーターの補助力(アシスト比率)を、時速10km未満では2倍まで、10km以上では徐々に減少し、24kmを超えるとゼロになるよう規定しています。

このアシスト比率を超えるよう改造された電動アシスト自転車は、法的には電動アシスト自転車ではなく、原動機付自転車に分類されます。インターネットなどで販売されている「パワーアップキット」や「アシスト比率上昇キット」は、この法律に違反する可能性が非常に高いため、安易に購入・装着すべきではありません。

特に注意が必要なのは、海外製の電動アシスト自転車やアシストキットの中には、日本の法規制を考慮せずに設計・製造されているものが多く、日本国内での使用が違法となるケースがあることです。
たとえば、EU圏内ではアシスト比率、上限速度などの制御基準が日本とは異なっており、EU基準で製造された電動アシスト自転車をそのまま日本で使用すると、道路交通法や保安基準に適合せず、違法車両と見なされる可能性があります。

また、一部のE-MTB(電動マウンテンバイク)モデルなどは、マウンテンバイクパークなどの私有地での使用を前提として販売されているケースもあります。
このような車両を、公道で使用することは明確に禁止されており、違法行為にあたります。

速度制限違反

電動アシスト自転車のモーターによるアシストは、法律で時速24kmまでと定められています。これを超える速度でもアシストが働くように改造された電動アシスト自転車は、道路交通法上の「電動アシスト自転車」ではなく、原動機付自転車として扱われます。

市販されている「速度制限解除キット」などを使用してこの制限を解除すると、無免許運転や無車検・無保険運転などの違法行為となり、取り締まりの対象となります。こうした改造は安全面でも問題があり、事故発生時には保険が適用されない可能性もあるため、絶対に行うべきではありません。

海外モデルの直輸入

海外から個人輸入した電動アシスト自転車の中は、ほぼ確実に日本の基準を満たしていません。そのまま公道で使用すると違法となる可能性があります。海外製品を購入する際は、利用前に、ファームウェアの書き換え等、日本の法律に適合しうるかどうかを必ず確認するようにしましょう。

以上が電動アシスト自転車で違法となる主なケースです。次の章では、電動アシスト自転車を安全かつ合法的に利用するための方法について解説します。

電動アシスト自転車の安全な利用方法

電動アシスト自転車を違法な状態で使用しないためには、法律に準拠した適切な利用方法を知ることが不可欠です。ここでは、合法的かつ安全に電動アシスト自転車を利用するための具体的な方法と注意点を解説します。これらの知識は、法律違反を避けるだけでなく、事故防止にも役立ちます。

法律を遵守した運転方法

電動アシスト自転車は、基本的には一般の自転車と同じ交通ルールに従う必要があります。しかし、モーターのアシスト機能により、一般自転車よりも速度が出やすく重量も重いという特性があるため、より慎重な運転が求められます。

まず、道路交通法上の基本ルールとして、車道の左側を通行することが原則です。ただし、「普通自転車通行可」の標識がある歩道や、車道通行が危険な場合には歩道を通行することができますが、その際は歩行者優先で徐行する義務があります。電動アシスト自転車は一般の自転車より重いため、歩道での走行時は特に注意が必要です。

また、スピードの出しすぎにも注意が必要です。法定速度を超えなくても、状況に応じた安全な速度で走行しないと「安全運転義務違反」として罰則の対象となる可能性があります。特に下り坂や直線道路では、モーターアシストと重力の影響でスピードが思った以上に上がりやすいので注意しましょう。

信号や一時停止の遵守も重要です。電動アシスト自転車は発進時のアシスト力が強いため、信号待ちなどで停止した後の発進が一般自転車より素早くできます。この特性を活かして信号無視や一時停止違反をすると、重大な事故につながる危険性が高まるため、必ず正しく停止して安全確認を行いましょう。

さらに、携帯電話やイヤホンの使用も禁止されています。特にイヤホンで音楽を聴きながらの運転は、周囲の音が聞こえにくくなり危険です。電動アシスト自転車は静音性が高いため、歩行者に気づかれにくく、事故のリスクが高まります。運転中は周囲の状況に十分注意できる状態を保ちましょう。

飲酒運転も厳禁です。電動アシスト自転車でも飲酒運転は道路交通法違反となり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金という厳しい罰則が科される可能性があります。アシスト機能があると操作が容易に感じられるため油断しがちですが、むしろアルコールの影響下では判断力や反応速度が低下するため、より危険だと認識しておく必要があります。

同乗者(特に子ども)を乗せる際の注意点

電動アシスト自転車は、特に子どもを乗せた通勤や買い物に利用される機会が多い乗り物です。しかし、同乗者を乗せる際には特別な注意が必要です。

まず、法律上、16歳以上の運転者であれば6歳未満の子どもを1人まで同乗させることができます。ただし、必ず専用の幼児用座席を使用する必要があります。近年は前後に子どもを乗せられる「3人乗り」電動アシスト自転車も普及しており、これらには、「幼児二人同乗基準適合車」のステッカーが貼付されています。一般の自転車よりもより高い安全性が求められる為、さらに特別な安全基準が必要になっていることを理解しておきましょう。

子どもを乗せる際は、必ずヘルメットを着用させることが重要です。6歳未満の子どもにヘルメットを着用させることは、2008年の道路交通法改正により保護責任者の努力義務となっています。電動アシスト自転車は一般自転車より重く速度も出やすいため、転倒時の衝撃も大きくなります。子どもの安全を守るためにも、必ずヘルメットを着用させましょう。

また、子どもを乗せた状態では車体が不安定になりやすいため、通常よりもさらに慎重な運転が求められます。特に発進時や停止時のバランスに注意し、急な坂道や段差の多い道路は避けるようにしましょう。子どもを乗せると重心が高くなり、転倒のリスクが高まることを常に意識する必要があります。

さらに、子どもの乗せ降ろしの際には必ずスタンドを両足で立てた状態で行いましょう。電動アシスト自転車は重いため、スタンドが不安定だと転倒のリスクが高まります。子どもを乗せたまま自転車から離れることは絶対に避けるべきです。

点検・整備による安全確保

電動アシスト自転車を違法な状態にしないためには、定期的な点検と適切な整備が不可欠です。特に電気系統やバッテリー、モーター部分は専門知識が必要なため、定期的に専門店での点検を受けることをお勧めします。

日常的な点検としては、まずバッテリーの状態確認が重要です。バッテリーの劣化や損傷は、性能低下だけでなく最悪の場合は発火などの事故につながる可能性があります。バッテリーに膨らみや液漏れなどの異常が見られる場合は、直ちに使用を中止し、専門店に相談しましょう。

タイヤの空気圧やブレーキの効き具合も重要な点検項目です。電動アシスト自転車は一般自転車より重いため、ブレーキの性能低下は重大事故につながるリスクが高まります。特にブレーキパッドの摩耗は定期的にチェックし、必要に応じて交換するようにしましょう。

また、チェーンの緩みや異音などにも注意し、異常を感じたら早めに整備に出すことが大切です。これらの部分を放置したまま使用を続けると、走行中に突然の故障が発生し、事故につながる可能性があります。

定期点検の目安としては、一般的には半年に1回程度の専門店での点検が推奨されています。また、長期間使用しなかった後や、大雨に濡れた後なども点検が必要です。特に電気系統は水濡れによる故障やショートのリスクがあるため、雨天走行後は十分に乾燥させることも大切です。

以上のような点検・整備を適切に行うことで、電動アシスト自転車を常に安全かつ合法的な状態で維持することができます。次の章では、違法な電動アシスト自転車を見分ける方法について解説します。

違法な電動アシスト自転車を見分ける方法

電動アシスト自転車を購入する際や、中古の電動アシスト自転車を譲り受ける際には、その自転車が法律に適合しているかどうかを確認することが重要です。ここでは、違法な電動アシスト自転車を見分けるための具体的なポイントを解説します。これらの知識は、不要なトラブルや法的リスクを避けるために役立ちます。

購入時にチェックすべきポイント

電動アシスト自転車を購入する際には、以下のポイントを必ずチェックしましょう。これらは違法な製品を避けるための基本的な確認事項です。

まず最も重要なのは、販売店の信頼性です。正規の自転車販売店や家電量販店、メーカー直営店などの信頼できる店舗で購入することで、違法な製品を購入するリスクを大幅に減らすことができます。逆に、価格が極端に安いインターネットショップや個人売買では、違法改造品や基準を満たさないグレーゾーンの製品が販売されている可能性があるため注意が必要です。

次に、製品の説明書や保証書が日本語で提供されているかを確認しましょう。正規の国内向け製品であれば、必ず日本語の説明書が付属しています。説明書がなかったり、日本語表記が不自然だったりする場合は、違法な輸入品の可能性があります。

また、価格も重要な判断材料です。相場より極端に安い製品は、安全基準や法的基準を満たしていない可能性が高いと考えるべきです。「安すぎる」製品には必ず理由があります。

さらに、アシスト比率や最高速度の表記にも注意が必要です。日本の法律では、アシスト比率は最大2倍まで、アシスト最高速度は24km/hまでと定められています。アシスト最大速度24kmと記載があっても、出力比率が法律で定めれた人力の2倍以上の出力をするモデルもあります。

購入後の保証やサポート体制も確認しましょう。正規の製品であれば、メーカーによる保証期間やアフターサービスが明示されています。保証内容が不明確な製品や、極端に保証期間が短い場合などは、違法バイクの可能性があります。万が一の故障や事故の際に対応してもらえない可能性も考慮すべきです。

合法品と非合法品の見分け方

電動アシスト自転車の正規品と非正規品を見分けるには、いくつかの特徴的な違いに注目するとよいでしょう。

最も明確な判断基準は、車体に表示されるべき情報の有無です。正規の電動アシスト自転車には、必ずメーカー名、型式、製造番号などが明記されています。これらの情報がない場合は、非正規品の可能性が高いです。

電動アシスト自転車には道路交通法に基づく基準適合表示(TSマークやBAAマークなど)が貼付されているモデルが大半です。これらのマークがなければ、国内の法的基準を満たしていない可能性があります。特に海外ブランドの場合は、日本向けモデルであるかどうかを確認することが重要です。

次に注意すべき点として、海外のクラウドファンディングなどで販売されている「モーター付きホイール単体」や、それを組み込んだ車両、さらにはタイヤに直接モーターを取り付けて、タイヤを回転させる仕組みの製品があります。

これらの多くは、モーターの制御がペダルの踏力に応じて行われる「踏力比例制御(ペダルアシスト方式)」ではなく、単純にモーターのスイッチ操作やセンサーによって駆動する設計となっており、日本の法令に定められた電動アシスト自転車の基準を満たしていません。

したがって、このような製品を日本国内で公道走行に使用することは、道路交通法違反となり、違法となります。

操作系統にも注意が必要です。

正規の電動アシスト自転車は、基本的にペダルを漕ぐ力(踏力)に比例してモーターのアシスト力が発生する「踏力比例制御」の仕組みになっています。

一方で、ハンドル部分にスロットルやアクセルのような装置が取り付けられており、ペダルを漕がずにモーター駆動だけで走行できる車両は、法律上「電動アシスト自転車」ではなく「原動機付自転車」に分類されます。

また、見た目はペダル付きであっても、踏力に比例せず、単にペダルを回すだけでモーターが駆動するタイプの車両もあります。これらは、踏力を感知するセンサーを搭載しておらず、ペダルの回転動作そのものをスロットルの代わりとして用いている仕様で、見た目こそ合法品に似ていますが、実際には違法バイクです。

識別は難しいですが、例えば以下のようなテストで違法性を確認できる場合があります:

・フロントチェーンリングからチェーンを外した状態でペダルを回すと、モーターが駆動する

・駆動輪を浮かせて、手で軽く回転させながら、チェーンを外した状態で、ペダルを回すとモーターが作動する

これらのチェックによって、その車両は踏力比例ではなく、「回転のみで駆動する違法な仕様」であり、公道での使用は道路交通法に違反することになります。

これを公道で使用するには、免許やナンバープレートが必要となります。

まとめ

電動アシスト自転車は環境にやさしく、日常の移動をより便利にしてくれる素晴らしい乗り物です。しかし、その便利さゆえに法律の範囲を超えた使用や改造が行われるケースも少なくありません。本記事では、電動アシスト自転車が違法となるケースと、安全に合法的に利用するための知識について詳しく解説してきました。ここで重要なポイントを整理しておきましょう。

まず、電動アシスト自転車の法的定義を正確に理解することが重要です。日本の法律では、電動アシスト自転車は「人力を補助するための原動機を用いる自転車」と定義され、アシスト比率は最大2倍まで、アシスト最高速度は24km/hまでという明確な基準があります。

HP等の表示上は、上限速度制限のみを謳っているケースの場合は、併せて出力方式も適合しているかどうかを確認しましょう。強すぎるモーター出力スペック表示のものなど、アシスト出力最大2倍のルール、速度域毎の出力比率のルールを逸脱している可能性があります。

これらの基準を超える改造や設定変更を行うと、もはや電動アシスト自転車ではなく、原動機付自転車などの別区分となり、無免許運転や無保険運転などの違法行為となる可能性があります。

違法となる主なケースとしては、無許可の改造、アシスト比率の超過、速度制限違反、識別表示の欠如などがあります。特に注意すべきは、インターネットなどで販売されている改造キットの使用です。これらは一時的な利便性が得られるかもしれませんが、安全性の低下や法的リスクをもたらします。短期的な利便性よりも、長期的な安全と合法性を優先すべきです。

安全に利用するためには、交通ルールの遵守、適切な点検・整備、正しい乗り方の習得が欠かせません。特に子どもを乗せる場合は、専用座席の使用やヘルメットの着用など、より慎重な対応が必要です。定期的な点検は故障や事故を未然に防ぐだけでなく、違法状態への移行を防ぐ効果もあります。

購入時には、信頼できる販売店で正規品を購入することが最も確実です。TSマークやBAAマークなどの安全・品質認証マークの有無、メーカー名や型式などの表示、適切な価格帯、日本語の説明書や保証書の有無などをチェックポイントとし、怪しい製品は避けるようにしましょう。

電動アシスト自転車は、適切に使用すれば非常に便利で環境にもやさしい乗り物です。しかし、その便利さに甘えて法律の範囲を超えた使用をすると、自身の安全を危険にさらすだけでなく、他の道路利用者にも迷惑をかけることになります。本記事で解説した知識を活用し、安全で合法的な電動アシスト自転車ライフを楽しんでいただければ幸いです。

最後に、電動アシスト自転車に関する法律や規制は時代とともに変化する可能性があります。常に最新の情報を確認し、適切な利用を心がけることが大切です。不明点があれば、自転車専門店や警察署の交通課などに相談することをお勧めします。安全で快適な電動アシスト自転車ライフを送るための第一歩は、正しい知識を持つことから始まります。

電動アシスト自転車に関するよくある質問(Q&A)

Q1. 電動アシスト自転車を改造すると必ず違法になりますか?

A1. すべての改造が違法になるわけではありませんが、法律で定められた基準を超える改造は違法となります。具体的には、アシスト比率を2倍以上に上げる改造、アシスト最高速度を24km/h以上にする改造、ペダルを漕がなくても走行できるようにする改造などは違法です。一方、ライトの交換やバスケットの取り付けなど、基本性能に影響しない改造は問題ありません。安全性や法律への適合性に不安がある場合は、専門店に相談することをお勧めします。メーカー純正のオプションパーツを使用するのが最も安全で確実な方法です。

Q2. 海外製の電動アシスト自転車を日本で使用しても大丈夫ですか?

A2. 海外製の電動アシスト自転車を日本で使用する場合、日本の法律に適合していることが必要です。海外、特にEUや北米では日本とは異なる基準(アシスト比率や最高速度)が適用されており、そのまま日本で使用すると違法となる可能性が高いです。日本国内で正規に販売されている海外ブランドの製品は日本の基準に合わせて設計されていますが、個人輸入した場合は注意が必要です。購入前に日本の基準(アシスト比率最大2倍、アシスト最高速度24km/h)に適合しているか確認し、日本の基準に合わせた調整が可能かどうかも併せて確認する必要があります。

Q3. 電動アシスト自転車のバッテリーに関して注意は必要ですか?

A3. バッテリー交換時などは、必ずメーカー純正品を使用しましょう。非正規品や、互換品などはは安全性に問題があるだけでなく、性能面でも電動アシスト自転車の法的基準を超えてしまう可能性があります。また、バッテリーや充電器には電気用品安全法に基づくPSEマークの表示が必要です。PSEマークは、電動アシスト自転車のバッテリーなど電気製品の安全性を示す国の認証です。マークがない製品は発火や故障のリスクがあり、購入・使用は避けるべきです。

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